■interlide■

完全なる闇ではない。
蝋燭のような頼りない光源がゆらゆらと揺れる。
音がよく響くような構造の空間、出口と反対側は石造りの床よりも一段高くなっている。
段の上は他の場所に比べればやや明るかった。
舞台なのだ。当たり前ではないか。
上等なビロードの幕にびっしりと貼り付いた蝙蝠の群を見上げて少し笑った。苦笑に近かった。
目を瞑れば今でもはっきりと聞こえる。
一つの体の中に三つの心臓が入っている。
すごい。心からそう思った。
それが悪魔らしくない事だということも分かるから悪戯っぽく笑った。でももう誰も笑い返してはくれない。

どっちに似ているのかしら?
それを知る日が来るかしらね?
おとこのこ?おんなのこ?
抱っこしたいって言ったら怒るかしら。
命ってすごいわね。

息を吸って、横隔膜が伸びるのを感じ、一瞬だけ息を止めて彼女と彼の新しい家族を思い描いた。